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湖の傍の花に腰掛けて、水面で遊ぶ虫達を眺める影が一つ。

「…いいなぁ…」

浅い溜め息を吐き、ぽつりと呟く。背中の羽根が揺れて、鱗粉が風に散っていった。

「どうしたの、ヒール」
「ひッ!?」

突如として目の前に現れたタンナの姿に、驚きのあまり悲鳴をあげて花から転げ落ちる。

「うわ、大丈夫!?」
「っ…あ、タンナ、さん…!?」

地面に倒れたヒールを助け起こすタンナ。すいません、と謝って、ヒールは赤くなった顔を逸らした。

「ヒール、こんな時間に起きてるなんて珍しいね。寝なくて大丈夫?」
「え、えぇ…ちょっと、眠れなくて」
「そっか…じゃあ、少しお喋りしない?昼間にヒールと話すなんて、なかなか出来ないもんね」
「えっ、え…あ、はい…」

おずおずと頷いたヒールは、タンナが真顔でじっとこちらを見ているのに気づき慌てて顔を伏せた。
不意にタンナの手が額に伸ばされ、びくりと肩が跳ねる。

「なんか顔赤いよ。熱もありそう」
「っ、だ…大丈夫ですっ」
「ホントに?…ヒールは夜行性なんだから、無理するなよ?」

こくり、と頷くヒール。タンナは笑顔に戻ると、そのままヒールの頭を撫でた。
羽根がひらひらと揺れ、ヒールの足元には鱗粉が散らばっていった。



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あきゅろす。
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