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深夜の逢瀬4






あれから連れて行かれたのは華やかな店内とは裏腹に殆ど物なんか置かれていない質素な部屋。


ロッカーと長机と灰皿。
それとパイプ椅子が数席あるだけ。




『今、政宗様をお連れする。そこで待っていてくれ』



俺様を此処に連れてきたヤクザ顔の人にそう言われ早30分。




「あ―…暇。早く来てくんないかね、政宗サン」



この店に来るのに変に緊張してたせいか、正直なところちょっと眠い。


明日は明日で休めない講義もあるし、もう30分待っても来ないんだったら帰ろう。


大学生だってそんなに暇なわけじゃない。

一人暮らしな為に炊事も洗濯もしなきゃならないし、学費を稼ぐためにバイトだってしなきゃならない。




そんなこと考えながらポケットから携帯を取り出そうとして不意に軽快な音と共に部屋の扉が開いた。


でも現れたのは政宗サンじゃなく、スーツ姿の背の高い銀髪の男の人。



左目に付いてる眼帯、……あぁそう言えば政宗サンも付けてたっけ、眼帯。


この人も政宗サンも眼帯が医療用じゃないところを見ると流行ってんのかね、ホストの世界で眼帯が。




「へぇ、アンタが政宗が言ってた助っ人のホストか」



ポケットから携帯を取り出し、誰かしらからメールの一つでも来てないかといじっていれば向けられる言葉。



「………は?」


「だからアンタなんだろ?政宗が言ってた助っ人のホスト」


「はいぃぃ!?」



いやいやいやいや、聞いてない聞いてない!

助っ人のホストだなんて一言も聞いてない!



「いやいや、俺はただ―…」


「ド派手な橙の頭に女が羨む細い体。色気のねェ眼鏡をコンタクトにでもすりゃ馬鹿な女ぐらいならばイチコロってか」


「…―ッ………」



向かいに座りながら豪快に笑い言葉向けるホストに思わず絶句した。





ホストってのはアレなんですかね?


初対面とか関係なく毒舌なわけ?

しかも俺様お客じゃないし。





このド派手な頭は生まれつき。

細身な身体は体質。

コンタクトなんて買うお金なくて使ってる眼鏡は高校の時に初めてバイト代で買った安いダサ黒縁眼鏡。




だいたいなんなわけ?この人。


人が気にしてることを次から次へと…!



「どんだけエラいんだか知らないけどさ?ただでさえ頭の悪そうな顔と頭してるんだから言葉ぐらい選んで使ったら?」


「あ゛ァ!?」



椅子から立ち上がり見下ろしながらこれでもかってぐらい鼻で笑ってやった。


だって言われっぱなしっていうのもさ。



一応俺様にもプライドってやつがあるわけよ、ちっぽけでもね。



「この俺に喧嘩売るたァいい度胸してんじゃねェか」



気が短いのか、今にも殴りかかってきそうな銀髪ホストにもう一度鼻で笑ってやったら勢い良く立ち上がり胸倉を掴まれた。



吊り上がる口端と振り上がる拳。



あぁ殴られる…



きっと次の瞬間にはボコボコにされてぶっ飛ばされるんだと覚悟した瞬間―…





再び部屋の扉が軽快な音と共に開いた。





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あきゅろす。
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