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遙か古より6


「猿はさっさと山に帰んな」


「片倉サンこそ早く裏の世界に帰ったら?」




佐助の突然すぎる訪問から早三十分。




仲良く向かい合ってリビングに置かれる椅子に座る佐助と小十郎。




互いに睨み合って場の雰囲気は最悪。


自分の家だっつーのに居心地悪ィ……






「だいたいその荷物はなんだ、テメェ」


「今日から此処で政宗と仲良く暮らすの」




仲良くと言葉強調させながら、勝ち誇ったような笑み浮かべ小十郎を追い払おうとする佐助。




小十郎の射すような視線が痛ェ……





確かに部屋に転がり込みたいとは言われた。

だが承諾した覚えはねェ。




「政宗様」


「俺は一言もYesと言った覚えはねェぞ」





一応紛いなりにも客人。

二人に冷たい茶を出し、俺も小十郎の隣に置かれる椅子へと腰を下ろした。




「そうだっけ?でももう出てきちゃったし……」



今夜だけでも泊めて?と言葉続ける佐助だが、小十郎へと視線向ければ案の定、予想通り眉間に皺を寄せている。





「政宗様、今夜は致し方ありません。ベランダで飼われては如何かと」


「はぁ!?なんで俺様が!邪魔者はアンタなんだからアンタが──」


「stop!!なら俺がベランダで一晩過ごす。それなら問題ねェだろ」




一緒にベッドで寝るんだと騒ぐ佐助と視線だけで人を殺せるんじゃないかと思える程、鋭い視線を向けてくる小十郎に正直頭が痛ェ……



だいたいなんでこうも仲が悪いんだ、この二人は…





「なりません、政宗様!」


「そうだよ!なんで政宗が!」


「なら一日大人しくしてろ!じゃねェと二人とも部屋から追い出すぞ!」




罵声にも似た声音で怒鳴ればすぐさま静寂が訪れた。


此処に慶次でも居りゃ、場の雰囲気も和むんだろうが…





一度立ち上がり夕飯の準備をするべくキッチンへと向かう。



「そういや小十郎。何か話があったんじゃなかったのか?」




冷蔵庫を開け、中身を確認しながら少し大きめな声音で言葉向けながら肉取り出す。


手っ取り早く腹を満たすならカレーで十分だろ。
食材もそろってるしな。





「それは……」


「何、俺様邪魔者?」




佐助の存在が気になるのか、口籠もる小十郎だったがガサゴソと足元に置いてある紙袋から何やら取り出してはテーブルの上へと置いた。





「実は先日、奇妙な郵便物が政宗様宛に届きまして」




小十郎の話だと差出人は不明。
配達された形跡すらなかったらしい。



包み紙に書かれていたのは“伊達政宗”
ただそれだけ。




元々俺の存在を嫌っていたお袋がそれを勝手に開けたらしいが……





「中には封書とこの箱が入っていたのですが、封書の中には“青龍”と書かれた紙が一枚だけ」





小十郎の言葉に思わず野菜を切る手が止まった。



そしてリビングへと視線向け、視界に映ったものはアンティーク調のステンドグラスを意識して作ったかのような水色の箱。




「ご無礼を承知で箱の中身を確認しようとしたのですが……」




小十郎の話だと、どうやっても開かなかったらしい。



痺れを切らしたお袋が箱を壊せと小十郎に命じたらしいがびくともしない。


俺が鍵を持っているかとも思ったらしいが鍵穴らしいものは見当たらない──…








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