遙か古より2
幼少の頃、水疱によって使い物とならなくなった右目。
それまで惜しみなく当たり前のように与えられていた母親からの愛情は…─
嘘のように右目と共に消え失せた。
醜いものを見るようなあの瞳……
少しでも母親からの愛が欲しくて伸ばした手は、汚いものを払い除けるように振り払われ……
いつしか同じテーブルで飯を食うことすらなくなっていった。
徐々に自室で一人引き籠もるようになる日々。
通っていた幼稚園は疎か、外に遊びに行くことさえなくなって……
でもそんな俺にしつこく毎日のように遊びに来る馬鹿が二人。
同じクラスで幼なじみの猿飛佐助と前田慶次。
『まさむねー!おれさますっごいもんみつけちゃったんだ!』
『あそびにいこうよ!』
毎日飽きもせず、インターホン越しに黄色い帽子被って騒ぐ二人。
今思えば毎日悪態ついて追い払っていたものの奴らが来ることを心待ちにしていたのかも知れねェ。
『そんなにはやくあるくなよ、けいじ』
『なんならて、つなごうか?』
『あ!まさむねとてをつなぐのはおれやまのやくめなのに!』
佐助を施設から引き取り育てている人が営んでいる武田道場。
その道場の裏山で佐助が見つけたのは小さな祠。
全く光の射さらない暗闇。
先頭を歩く佐助が持つ懐中電灯の明かりだけを頼りに祠の奥へと突き進んだ。
そして見つけたのは小さな祭壇…──
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