特別書物 魔法、魔力、魔術について 部屋の片づけをしていた時だった 「なにこれ?」 本棚の中に記憶にない書物が紛れ込んでいる はてさて、一体誰が拾ってきたのやら パラパラと薄汚れた書物を開く 随分と年期が入ったそれは、所々のページに文字の滲みや端の折れ、カビまで生えている それでも私は本が好きなので気にならない 「うっわ…なに、人間たちってこんな無駄な事してるんだ…」 内容に目を通してみれば魔法についての物だった なにやら小難しい言葉がずらずらと並び、科学的根拠まで持ち出している なんとも馬鹿らしい…科学で解明できないからこそ魔法なのだと知らないのだろうか いくら御託口上を並べようが説明出来ないものは出来ない 恐らく、魔法を使っている皆が自分の魔法の事を知らないだろう 私だって自分の魔法が何なのかよくわからないのだから とりあえず、わかっていることだけでも纏めてみようか 1 この世界の魔法というものは詠唱が必要 2 魔力のみの放出や収束が可能 3 魔力は微量だが空気中にも含まれているらしい 4 魔力には個人の特色が反映されており、他者の魔力と接触すると何かしら影響が出る 5 魔力は特定の条件下で拡散すると特色がなくなり影響が出なくなる 6 魔力は個人の体内で生み出される 7 個人が保有できる魔力の量には限界があり、その幅は個々に依る 8 多くのヒトには魔力が存在し、体内の魔力がなくなる、止まると死ぬ場合がある 9 魔力を行使した戦闘テクニックを魔術と呼ぶらしい 10 魔法は大きく分けて 破壊系 治癒系 その他 の3つに分類される 11 一部の物は自身の限界を超える量の魔力を扱うことができるのだとか 12 ヤーンの契り、と呼ばれる特殊魔法は魔力の流れに強く関係している その扱い方は当初の目的のヒトのみならず、様々な使い方が存在する …どちらかというと先述の魔術に近いものと言ったほうが適切。 13 現在魔力の存在は大きく、 機械兵器や原始的な武器の戦力とは桁が大きく外れているのは明白である だが、一部の者に限り魔法に屈しない力を持つ者達が居ることが確認されている 対魔法用戦闘術 通称「ウィズリズ」 「んん。こんなものかな…ほかにも気がついたら書き足しておくとしよう」 長い間瞬きをしなかったせいか目が霞む 私は本を閉じ、本棚に戻すと部屋を出た [*前へ][次へ#] |