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「よす」
『あ、隆也−。きてくれたんだ』
病院独特の消毒液のにおい。真っ白なシーツ。体中につけている管。機械音。
『野球部、どうよ』
「荒シーの田島がいた。あと、スゲー投手がいた。だから、」
お前を甲子園につれてってやれる。そうまっすぐ見据えて言うと、無理だよ、なんて。
「・・・なんでだよ」
『あたし、夏まで持たないもん。もうちょっとで終わっちゃう』
力なく微笑んだ君を抱きしめた。
「簡単に終わるとか言うなよ。お願いだから」
お願いだから、せめて、甲子園ぐらい行かしてやりてぇんだよ。
神様、
これは俺が現実から目を背けていた罰ですか。
一つ勝った所を見届けて彼女は冷たくなった。
彼女の名前はもう呼ばない。呼べない。
美しさに涙がこぼれるから。
◇◆◇
これは、THE BACK HORNさんの美しい名前、という曲のイメージで書きました。
聞くたびに号泣してます
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