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「泉ー、今日ランナー練習あんじゃん」

「おー」

「あたし今日走れそうにないんだけど」

「ふーん、珍し
明日嵐でもくんじゃね?」


そう言ったあと返事は来なくて。

横を見ると苦しそうに顔を歪ませている#name2#。


「…大丈夫か?」

「んー、薬飲んだし、大丈夫だと思う」


そう言う顔は真っ青で。
貧血なんじゃないかと思う。
でもそれならなんで腹抱えてんのか、なんて疑問が残った。


「…保健室行ってくる。先生に言っといて」


ガタリと椅子を鳴らして立ち上がった#name2#はフラフラしている。


さすがに心配にもなるっつの。
しかもいつも気ぃ強くてガンガン言ってくるやつがこんなだと。


2、3歩歩いた所でふらりと横に倒れそうになる#name2#にすぐさま駆け寄って支えた。


「俺もついてく
田島ー、俺こいつ保健室連れてってくっから
遅れたら言っといて」


田島にそう告げて、返事も聞かずに#name2#に背中を向けて屈む。


は、なにしてんの、なんて思ってんのが目から分かるが、歩かせるほうが遅くなりそうだし。

「乗れ」

「無理無理無理無理!
乗れるわけない!
泉潰れる!!」

「はぁ?お前なあ
#name2#乗せたぐれーで潰れてたら俺今頃こんなだぞ」


親指と人差し指をギリギリまで近づけて、#name2#に抗議をした。

戸惑っている彼女腕をぐいっとひっぱって無理やり乗せる。


背負った体は軽すぎだった。
この身長でこの体重はないだろ。
ぜってー飯食ってねえ、こいつ。


「…、重いっしょ」

「全然
寧ろ軽すぎ
お前最近飯食ってんの」

「だって食欲なくなんだもん、生理って」


しまった、と#name2#が口を手で覆ったのが分かった。

俺は俺で生理ってあの生理だよな、なんて考えて。

顔に熱が集まるのが分かって更に恥ずかしくなる。


沈黙は保健室に到着したところで途切れた。


「ごめん、ありがと」


#name2#は俯いていたけれど、顔は真っ赤なのが分かって、落ち着いてきた顔にまた熱が集まる。


保健室のドアの向こうに消えようとした#name2#の腕を、無意識のうちに掴んでいた。


「な、に」

「や、なんでもない
わり」


急いで手を離したけど腕の柔らかさがしっかりと覚えられている。


「…なにやってんだ、俺」


教室へ帰る道で自分を落ち着かせるようにそう呟いた。


男じゃないんだよ、あいつは。
そんなこと分かってたけど、改めて認識させられた。


10/10/16修正



あきゅろす。
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