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西浦は最後に織田君から三振をとって、初勝利をおさめた。
「#name1#っ!
勝ったぞ!!」
そう言ってベンチに飛び込んできた田島君に抱き締められる。
でもあたしはただ放心状態で。
しかも涙なんかでてきちゃって、目の前が霞んできた。
「っ…!」
ポロポロと溢れ出す涙にみんなは戸惑っていて。
田島君も驚いて、体を離し、おろおろと右往左往している。
「うわ
なに泣いてんだろ
嬉しすぎて…
ごめんね」
「…や、そんだけ喜んで貰えると、俺らも嬉しいっす」
ふわりと頭に乗っかる大きな手。
俯いていた顔をあげるとそこにいたのは泉君で。
身長も男子にしてはちっちゃいし、顔だって可愛いのにやっぱ男の子だなーなんて。
さらに前を見ると、みんなの笑顔がうつって、殊更嬉しくなった。
※
「車10分くらいだそうです」
千代ちゃんがぱたぱたと駆けてくる。
「ありがと。荷物持って!門まで行くよー!」
まりあさんにみんなは気持ちのいい返事をして、荷物を運び始める。
「千代ちゃん!
ごめんね、ウグイス嬢任せちゃって…」
「いえ!
全然!」
千代ちゃんはそう言ってにこりと微笑んだ。
千代ちゃん可愛いな、なんて和んでいると、後ろから畠君の声が聞こえる。
「つぐなうチャンスをくれないか」
「!!」
畠君の一言にみんなの視線が三橋君へと集中した。
「…戻って、来いよ」
戻らない、よね?
三橋君。
もう、みんなと仲間になれたでしょう?
「…も…ど…らない」
三橋君がぽつりと告げた自分の意志。
阿部君は嬉しいんだろうな。
そのあと、また試合をしよう、とお互い言い合ってた。
青春、だね!
「あのっ」
不意に後ろから声がかかる。
「あっ、あたし?」
「はいっ」
振り向くと顔を真っ赤にした叶君が立っていた。
「めっ、メアド教えてもらえませんかっ」
「メアド?いーよ
えと、どうしよ」
偶然ポケットに入っていたメモ帳にメアドを書き、千切って渡した。
「後でメールして
そんで三星の野球部なら誰に教えても良いから!」
それじゃ、と後ろを見た時には誰もいなくてちょっと焦ってしまった。
※
「#name1#さん、遅かったっすね
何してたんすか?」
バスの後ろの席に座っていた花井君から話しかけられる。
「メアド交換!
叶君と」
年下のメル友!なんて笑うと、無防備だ!とかなにやってんすか!とかみんなから罵倒されてしまった。
まあその場を境にみんなのメアド交換できたからよかったけど。
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