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『ねーねー!あたし彼女できた!』

「「「はああああ!?」」」

今日はエイプリルフールである。

ということで、親友の郁に協力してもらってちょっと野球部をからかいに屋上へとやってきた。

郁とはあんま学校では関わってなかったのでバレないだろう。

「えっ、なに、みょうじってそういう趣味だったの!?」


「つか誰!?彼女って!」


次々と質問が浴びせられる。


『聞いて驚け!!なんと、学年1の美人、5組の宮沢 郁ちゃん!!』


「「「えええええ!?」」」


今階段とこであたし待ってんだよー。呼んでくるー!

パタパタと階段に繋がる扉へと向かいながらちらりと後ろを振り返る。

みんな、特に泉は放心状態。

もしや泉は郁のことが好きとか?

そう考えるとズキリと胸が痛んだが、気にしないふりをした。

『郁っ!入っていいよ!』

「あっ、うんっ」

ギッ、と扉が耳障りな音を立て、開く。
少しの隙間からスルリと郁が入ってきた。

「えっと、なまえの彼女です。よろしくお願いします」

ぺこり、ご丁寧に腰を折って挨拶する。

「あ、ども…」

ぽけーっとしているみんなの中でかろうじて栄口があいさつを返す。

『郁』

郁を呼んで、こっちを向かせる。

「なあに?なまえ」

郁の前で片膝で立って、左手をスッ、ととる。

『郁、ここはあたしだけの物、だよね?』

「「「っっっっっ!!!」」」

ちゅ、左手の薬指にキスを落とすと郁は恥ずかしそうに身を捩る。

野球部はみんな驚いたようにあたし達を見ていた。

『つーことで、みんな郁に手出さないでよね!』

指を差しながら言うとおう…なんて気のない返事が返ってきた。

ところでなんだかみんな郁が好きなんだなとか思ってかわいそうになってきたので種明かし。


『さてはてみんな。今日は何日?』

「はいはいっ!4月1日!!」

元気よく田島が答える。

『4月1日って何の日?』

「何の日って…エイプリルフール…」

「「「ってあああ!!!」」」

目を丸くして大声をあげる。


「ね、だから、みんなそんな焦らなくていいんだよ」

なまえはちゃんと男の子が好きだから。にこりと微笑む郁に安心するような野球部。

や、あたしのは気にせず郁が男の子に興味あるっつったら安心するとこっしょ、ねぇ。

「おい、みょうじ」

『は、い?』

後ろから声が掛かる。

驚いて振り向くと、泉の姿。

『何、』


「俺、めっちゃ焦ったんだかんな」

お前、女が好きなのかと思って…。

真っ赤で俯いて呟いている泉。

「っあ〜!!今のなしな!」

『…や、あたしも焦った』

「は?」

『…泉は郁が好きなんだと思ったから』

そういうと、顔を真っ赤にして、口をパクパクさせている泉がいた。


(恋が叶うなんて)(エイプリルフールも悪くない)(なんてね)

◇◆◇

ぐだぐだ\(^_^)/



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