PARTV『Action』
 


「へぇー、此処が噂のニホンかぁ。流石だね、リヴァル。」

 まるで童話から飛び出してきたような王子様ルックに身を包んだ少年が、傍らの少女に話し掛ける。

「魔法が存在しない国の中でも特に文明が発達しているのだそうよ。ほら、あれじゃないのナーシィ、あんたが気になってたっていう」

「おお、あれがバイクという乗り物か! ボクのセイバルテンには及ばずながら、なかなか格好良いじゃないか」

「出たわ、乗り物オタク」

 嘆息した少女、リヴァルは長い薄桃色の髪を背中に流しながら、右手の双眼鏡で下を見ていた。
 ナーシィ、リヴァル……二人が居るのは各々の箒の上で、上空50メートル程の高さに浮いている。彼らが眺める地上には、日本という国の都心の街並みが広がっていた。

「久し振りの再開がまさか同じ職場だったなんてね……。取り敢えず、この任務はさっさと終わらせましょう」

「えーっと、古時まほろ、だっけ? 先生が探してる人物って」

「お師匠様から直々に承った任務“古時まほろの捜索及び護衛”……今私には多大な期待が掛かっているんですもの。必ず成功させてみせなくちゃ」

「ところで、その子って名前以外の情報が無いけどどうやって探すの?」

「………それは、ええと」

「やる気と根性とカリスマ性は昔から認めてるけどさぁ、何かが必ず抜けてるんだよね、リヴァルって」

「あっ……あんたに言われたくないわよ!」

「ボクは努力とか勉強とかが嫌いなだけ。体術も魔法も素敵にこなせるし、飛行術に関しては同期生の中でも右に出る奴なんかいないんだ。何と言ったってボクはルジス家の後継者だからね」

「耳にタコ! それよりどうやって古時まほろを探すかを考えましょうよ」

「そうだね。じゃあ一度降りようよ。いつまでもこんな所で油売ってたって解決しないし。何より古時まほろは空を飛ばない」

「……それもそうね」

 二人は箒の高度を下げゆっくりと地上へ降りていき、街の喧騒に飲み込まれていった。




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