[7]

「ランス」

 薄暗い部屋の中、小さなベッドの上で、半裸の男に跨りながらシャロネは呟いた。

「初めて名前を呼んでくれたね」

 呼びかけただけでばつが悪くなり、胸板に顔を埋めようとする少女を、ランスは上体を起こし阻止する。そのまま形成逆転。押し倒した少女の下着をも剥ぎ取り、なめらかな肌のすべてがあらわになる。

「今更隠すなよ」

 時折放たれる強い口調や鋭い眼光を浴びる度に、縋るように絡みつく彼女の感覚を愉しむように、ランスは欲をぶつける。

 熱を孕んだまぐわいの果て、何度も唇を重ね、まどろみの中でシャロネは語る。そそくさと身支度を整え始めたランスに熱っぽい視線を送りながら、

「ずっと、強い男に出会いたかったの。私より先に壊れてしまわない人。林檎売りの皮を被った狼みたいな、ね」

 ランスは言葉を返さない代わりに、振り返りシャロネの頭を撫でた。

「明日の朝をここで迎えたら、私のことは好きにしていい」

「約束だったね。でも、ここまで潔いとは思わなかったよ」

「もっと抵抗してみたほうが良かったかしら? でもね、実は相当待ちくたびれていたのよ。私に見合う男なんて、一生現れないんじゃないかとも考えたわ。何度も何度も」

「苦労するんだね……“魔女”ならではの悩みというものも」

「え」


 銃声。




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