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 深雪の肌 鮮血の唇
  黒檀の髪 紫陽花の殺意

 踊れ 僕の腕の中で



 男は意を決して立ち上がった。今日こそ、かの麗しき女性に想いを告げる為だ。この小さな村に女は数あれど、人を惹きつけて離さない美貌、全てを見透かす瞳、自分に向ける無垢な笑顔、どれを取っても彼女に敵う女性は存在しない。男は鼻息荒く勇み立った。手には色とりどりの薔薇の花束。辿り着いた小さな木造家屋のドアを叩くと、少女のようなみずみずしい笑顔が出迎えた。

「あら、ダンテさん」

「やあ。ええと、君に会いに来たんだ」

 男は花束を差し出す。受け取った女は笑みを貼り付けたまま、眉を動かした。

「まぁ、綺麗ね。赤、白、黄色……。でもだめよ。薔薇はみんな赤くなきゃ」

「ああ、ごめん……お気に召さなかったかな」

 戸惑う男。女は続けた。

「ええ、だから今すぐ」

 女は男の首に手を回して抱き寄せた。女の髪の甘い香りが男の鼻をくすぐる。男は一瞬瞠目したが、膨らみ始めた欲望を抑え切れず、女の腰に手を伸ばしかけた、その時。

「……今すぐ、貴方に染めてもらうわ」


 男は意識を手放した。

 純白のシャツを深紅で染めた女が、血の海にたゆたう花畑の中、嗤っていた。




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あきゅろす。
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