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 聖アンジェリーク教会には、隠された通路が無数に存在する。地上部は教会としてディラン・スペンサー司祭が管理しているが、その地下にはリリオール率いる魔女狩り組織『黒条教団』が巣喰っている。正しく言えば、黒条教団は聖アンジェリーク教会に匿われている存在である。
 戦死に因る漏洩を防ぐ為、地下への鍵を持っているのはリリオール、教会の神父、数名のシスターに限られている。アンリもその一人だった。

「では、開けますね。ベス」

「はいはーい」

 ベスは、聖歌用のオルガンに手をかけると、軽々持ち上げて動かした。絨毯を捲ると、小さな鍵穴のついた、色の違う床板が見えた。アンリが鍵を差し込むと床板が外れ、人ひとりやっと通れそうな階段が現れた。

「いってらっしゃいませ」

 ヴィリアは会釈だけすると、階段を降りていった。
 ひやりとした空気の充満した石の洞窟を進み、突き当たった鉄の門扉を押し開けると、大理石の石畳が内装された小部屋に辿り着いた。そこには、翡翠色の目をした年端も行かぬ少女が佇んでいた。

「待ってたよ、ヴィリア」




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あきゅろす。
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