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「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァ!!!!!」
悲痛な叫びが館中に轟いた。
「な、何だ」
「おい……ジェラールの声じゃないか?」
食卓に戦慄が走る。
「皆さん、落ち着いて。その場を動かないでください」
ヴィリアが声を上げる。
「アレアロさんも、此処に居てください」
泥酔していたアレアロも急な出来事に戸惑いながらも頷いた。
大部屋を飛び出したヴィリアは、くぐもった悲鳴の聴こえる方へ目を向ける。階段を駆け上がり、長い廊下を走ると、声の正体はその先に在った。
暗がりに大小二つの影。ぐちゃりぐちゃりと、肉を磨り潰すような音。横たわる大きな塊は、先程手洗いに立った筈の男、ジェラール。傍らには、その脇腹に懸命に齧りついている小柄な少女の姿が見えた。男の立派な腹は無惨に抉られ、薄紅色の臓物がびくりと跳ねると、少女は躊躇い無くそれを鷲掴みにし、尖った歯の密集した赤い口に運び入れた。
少女は、食事をしていた。目の前の男を、食べていた。
「《アントロポファグ》か……」
ヴィリアは銃を取り出すと、引き金に指を添えた。少女は食事に夢中でヴィリアに気付かず、ひたすら肉を咀嚼している。
「……永遠の安息を」
銃声。ヴィリアの放った弾は少女の腹を穿った。
「ひぎぃぃいいいいいいいい!!!いいいい痛いにいいいいい!!!」
のたうち回る少女の飛び散る鮮血が、床で温度を失っている男の血と混じる。
「心臓を外したか。だから銃は嫌いだ」
吐き捨てながら、ヴィリアは二撃目を構える。
「マニっ!!!!」
叫びの主はアレアロであった。ヴィリアが振り返ると、騒ぎを聞き付けた数人の男たちがアレアロに付いて階段を昇って来ていた。
「来るな」
ヴィリアの制止も虚しく、一行は凄惨な光景を目の当たりにする。
「ジェラールっ!」
「うぐっ」
口を抑えてよろめく男を端へ押しやり、アレアロが進み出る。
「おいおい……どういうことだい、なぁ……説明しろっ!ヴィリア!」
「その娘は、貴女が隠していたのですか」
「だったらどうした」
長く息を吐いたヴィリアの、目の色が変わった。
「それが《アントロポファグ》と知っていてか」
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