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 耳を裂くような断続した銃声が鳴り響き、空になった薬莢がいくつか地面に落ちた。少女の足下に数ヶ所、弾瘡が走っている。

「上手く避けたようだね、ヴィリア嬢」

 男の声。茂みから姿を現したのは、深青色のスーツに身を包んだ金髪の青年だった。少女――ヴィリアは、一度下ろした銃口を再び男に突きつける。

「何の真似だ、ランス・ライヒ」

「ほんの挨拶さ。君も腕を上げたようだけど、まだまだ僕には敵わないね」

 ランスと呼ばれた男は、腰に手を当て首を回しながら話す。下がりがちな目尻に涙を浮かべて欠伸を噛み殺す姿さえ、この男が為せばなんとも優雅だ。ヴィリアは眉をひそめた。

「射撃は専門外だ。近戦ならば負けない」

「また物騒なこと言って、可愛い顔が台無しだよ」

 銃声。ヴィリアが放った弾丸はランスの脳天の位置を穿っていた。だがそれより速く、彼の体は射程の外に動いていた。

 

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