卒業
7
俺が一人うろたえていると、望はぼそりと呟いた。
「浮気なんて…するわけないだろ。…やっと想いが通じたんだから。」
「ん?やっと?」
「やっとだよ。俺がどれだけ前からお前のこと好きだったか…。」
望は遠くを見つめるような目をして言った。
「は?いや、俺のが前だよ。夏休みからだぞ?」
「はっ。」
「何だよ。望のくせに、その馬鹿にした笑いは。いつからなんだよ。」
「言わない。」
「は?」
「言ったら引くから。」
引くくらい前って…。どれだけ前なんだ?
「小学校からとかでも、引かねーよ?」
望はまるで俺のことを可哀相な子でも見るかのように見つめている。
「…言わない。」
END
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