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卒業

顔をそらすこともできず、できる抵抗は目を泳がせることだけ。


「…っなんで、言わなきゃいけねーんだよ。お前は…」


何も言ってくれなかったのに。

俺がそう続けようとしていたことが、望にはわかったのか、言い終わる前に返事を返される。


「うん。何も言わなかった。ごめん。……で、どう思ってるの?」


謝罪の言葉もそこそこに、もう一度問われる俺にとって答えにくい質問。

俺はまた逃げることしかできない。


「…だから、もう遅いんだって。」


今さら望が謝ったって同じ高校には行けない。

…今さら、俺が望に気持ちを伝えたって、俺と望の関係はどうにもならない。



「俺は好きだよ。」



俺を真っ直ぐ見つめているのが俯いていてもわかる。

望は優しいけれど芯の通った声でそう言った。


「うう…。…俺も、…好きだ…。」


そんな望の態度に俺は怯み、また、心が緩んだ。

結局、何を言っても望は冗談にして笑ってくれる気がした。

この時ばかりは、自分が傷つかないからそれで良いと思えた。

俯いたまま、本当に聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で言った。

望が本気で受けとってくれるかわからないのに、それが俺にとって精一杯だった。

望は息を飲むように、一瞬の間、黙った。



「…じゃあ、付き合おっか。」


「え?」

「え?」





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