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卒業

中学3年生になった俺達は卒業式を迎えた。

長い式の後、自分のクラスの奴らとの思い出話や別れの言葉を疎かに、隣の教室の扉を開ける。

そして教室を見渡し幼なじみの姿を探す。

望は座って近くの席の奴と話していた。


「おい。知ってるか?鹿山のやつ、教室で大泣きしてんだぜ。」


俺は望の机の前からひょっこり顔を出して、話し掛けた。

望と話していた奴は、自然と会話を止め、他の奴と話し出す。

俺達は席を立つと、まだ卒業ムードで騒がしい教室を早々と出る。

廊下も別れの挨拶をしにきた在校生達で騒がしい。

後輩達がそわそわしながら、教室を覗き込んでいる。

もしかすると告白などという羨ましいことをしにきた子もいるのかもしれない。


「あぁ。へー。」

「あぁ。へー。って、あの鹿山だぜ?驚かないのかよ?」

「うーん。でも、鹿山さんは結構可愛い所あると思うよ。」


反応の薄さに非難の声を上げると、望は首を捻り少し考えて言う。

「どこが?!」という疑問はあったが、『可愛い』と言う言葉が引っ掛かり、あまりこれ以上その話をしたくなくなった。


「…ふーん。でも、まあ、みんな大騒ぎし過ぎだよな。卒業したからって、どうなる訳でもないのにな。会う奴は会うし、会わない奴は会わないし。」





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