彼はエスパー?
…あ……あれ?えっと…誰だっけこの人。
たしか青学…いや、氷帝だ。氷帝の…
「青学の不二周助だよ」
「え、なに?エスパー?」
「フフ、顔に出てたよ。そもそも僕は自己紹介してないからね」
なるほど、そりゃあ名前知らないわけだ。ふじくんか……なんか幸村くんと雰囲気似てるな…
はぁ…
「黒井さん」
「ん?」
「今から少し時間ある?」
「大丈夫だけど」
「僕の散歩に付き合ってくれない?」
「うん、いいよ」
「フフ、ありがとう」
合宿所の外を、ふじくんと並んで歩く。
散歩って言ってもなにしろ山奥だから道は真っ暗。もちろんコンビニなんて無い。
てゆーかふじくんは何も話さないから…
「つまらない?」
「え?またしてもエスパー?」
「フフ、黒井さんは分かりやすいんだよ」
「ごめん…」
「謝らないで…よし、この辺でいいか。黒井さん」
「ん?」
ふじくんは突然立ち止まって、私の正面に立ち、肩に手を置いた。
「はい、目を閉じて」
あれ?コレって完全にアレだよね。接吻フラグ……とは思いつつ目を閉じちゃう私。だってふじくんカッコいいんだもん。
「そのまま上を向いて」
ふじくんに言われた通りにする。あ、なんかちょっと恥ずかしいなコレ。ドキドキしてきた…
「よし、開けて」
オッケー開け……え?開けて?
「ここで開け、ちゃ……うわぁ…」
「どうかな」
「ふ、ふふふじくん!」
「フフ、どうしたの?」
「す、凄い!ヤバい!なにこれ!」
私が目を開けると、そこには夜空いっぱいの星。こんなの見たことない。むしろ若干気持ち悪いぐらい凄い。うわー、感動だ。
「凄いよふじくん!きれい!」
「クスッ、やっと笑ったね」
「へ…?」
ふじくんは私の頬を両手で包んだ。
「ふ、ふじくん?」
「ずっと泣きそうな顔してたよ」
……なんかキラキラオーラが出てるよふじくん!
「君に涙は似合わない。笑顔がよく似合うよ」
……か、顔が近いよふじくん!
「それに星よりも黒井さんのほうが綺麗だよ」
………あ、
甘いんですけどォォォオオ!!
なにこれ!なにこのリアル王子様!キュンキュン通り越してなんか痒いんですけど!
「フフ、可愛いね…」
「ふ、ふじくん帰ろっか」
「もう少し綺麗な君を見ていたいけど…時間も時間だしね」
行きの無口さが嘘かのように、キラキラオーラを放ちながら甘いトークをするふじくん。鳥肌ものだ。
なるべく聞かないよう違うことを考えながら歩いていてたら、合宿所に到着した。
「じゃ!」
「黒井さん」
「は、はい」
ふじくんは私に近づいてきて、私の手を優しく包んだ。
「悲しいことがあったら僕を想って。すぐに君の元へ駆けつけ…」
「じゃあね、お休み!」
私は走って逃げました。
いやぁ可愛いとか言われるのは慣れてんの!
けど何か違うのふじくんは!
あんな絵本から出てきたみたいなキラキラ王子様キャラ、周りにいないんだもん!
頼むよ、
耐えられないのよ!
(あ、甘かった…)(何が?)(ゆーし!なんで私の部屋にいるの?)(寝るため)(あ、そっか)(眠たいから寝とくで)(はーい)(Zzz)(………あれ?私ゆーしに怒ってたような……なんか考えんのめんどくさいからいいか)
(・∀・)誰ですか、あれ。はい、不二君でしたすいません。彼は学園際だろうが無人島だろうが、お構いなしに甘いという印象しかありませんすいません。
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