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迷える帝王




冷蔵庫がもうすぐからっぽ!というわけで、ゆーしと近所のスーパーにやってきた。


「ゆーし、メロンあるよ」

「いらん」

「あ、いちごだよ」

「買わん」

「もやしが15円だ」

「え?どこ?」

「…………はぁ」

「なんやねんその目は」

「別にー、私外で待ってるね」

「あ、おい桜、知らん人に付いてったらあかんでー」


はいはーいって言いながら、スーパーの中をぐるりと一周して、それから外に出た。





「あれ?忍足じゃない?」

「ん?なんや滝やないか」

「やっぱり忍足だ、買い物?」

「せやねん、滝は?」

「俺たちは今度の合宿の買い出しだよ」

「ご苦労さん、ってか俺たちって滝しかおらんやん」

「あれ?あら?ほんとだね」

「誰と来てるん?」

「跡部だよ」

「なんや跡部がスーパーて珍しいな」

「どっかで迷子になってるかもね」





なんかやけにイケメンの人がいる。え、日本人?いや、つーか超挙動不審。けどイケメンだし…声かけてみようかしら。


「あのー、迷子?」

「アーン?俺様が迷子だと?」


「え、だってキョロキョロしてたし」

「フン、ちょっと人を探していたら自分が何処にいるか分からなくなっただけだ」

「それ迷子だよ……ってか」


なんかこの顔見覚えあるような…


「なんだ、俺様がイケメンだからって見つめてんじゃねぇよメス猫が」

「イケメンだけど今のはウザい」

「なっ、ウザ……フッ、照れ隠しだなんて可愛いじゃねぇか」


うーん、こんな変な人一回会ったら忘れないと思うんだけどなぁ…


「アーン?さっきからなに人の顔ジロジロみてやがる」

「ねぇ、なんかどっかで会ったことない?」

「この俺様がテメェとか?」

「えーっと、えーっと」

「そういやどっかで見たような顔してやがるな、アーン?」

「えーっと…あ、電話だ」

「俺様もだ」


もうちょっとで思い出せそうなのに、ゆーしから電話がかかってきた。


「はいー?あー分かったすぐ行くー」

「アーン?分かった樺地を呼ぶぜ」


ゆーしったら案外長かったな、買い物。あ、ヤバい。お腹空いてきちゃった。


「ってわけで、ばいばい」

「あ、待ちやがれ」

「なに?」

「テメェ、名前は」

「桜、黒井桜だよ、よろしく!」

「これは俺様の名刺だ、俺様に会いたくなったら連絡してきやがれ」

「わ、ありがとー!」


最近のイケメンは名刺なんて持ってるんだね。すごいね。
あ、電話…ゆーしの催促か…急ごー。


「俺様の名前は跡部景吾、氷帝学園3年の男子テニス部部長ってかキングだから凄いんだぜ!それに俺様の美技は一度見ただけで誰だってブキウギだ…」

「跡部」

「ちなみにこのホクロは…」

「跡部…さん…」

「アン?なんだテメェらいやがったのか」

「うん、てか1人で何してるの?」

「アーン?俺はこいつに……あれ?いない」

「ドンマイ、です」

「………黒井桜、恥ずかしがり屋さんか……ふっ」





それ勘違いですから!
(何しとってん)(迷子の男の子の相手してた)(偉いやん)(そういや名刺貰ったなぁ)(名刺て、今時のガキはませて…)(えーっと、あとべけいご)(え)(あー!どっかで見たことあると思ったらキング君かー!)(え、跡部てな、は、ええー!?)(うるさいってば)




(・∀・)今後の跡部くん、愛故に壊れまくるかと


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