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彼女の疑惑




「仁王、桜はいるか?」

「よう参謀、あいつならそこで電話中じゃ」


仁王の指差す先には、何やら電話で話し中の桜がいた。


「やだやだやだー!」

「桜、数学のノートを返してもらいに来たんだが」

「絶対やだ!」

「しかし返してもらわないと困るんだが…」

「参謀、もうちょっとで電話終わるじゃろうから待っときんしゃい」


なるほど、さっきのやだは俺に言ったのではないのか。その前に俺が来ていることに気づいているのか?桜は。


「じゃあ桜も行くー!」



「仁王、あいつは誰と話しているんだ?」



「なんでよバカバカー!」



「知らん、けど時々電話しとるんよ」



「訳わかんない!寂しすぎて死ぬ!」



寂しすぎて…ってことは


「………男か?」



「もういいよ!ばか!」




「多分そうじゃろ」


そうか、男か…。と思ってるうちに、桜は電話が終わったらしく、俺がいることに気がついた。


「あ、蓮ニだー!」

「桜、数学のノートを…」

「蓮ニ!次一緒にサボろー!」

「サボリはいけないな」

「えー、授業出る気分じゃないー」


俺の制服を引っ張って駄々をこねだす桜……何だこの可愛い動物は…持って帰っていいのだろうか…。


「参謀、たまには行ってやりんしゃい」

「ふむ……まぁいいか」

「わーい!じゃあ仁王、後よろしくー!」

「はいよ」






桜に引っ張られるがまま着いて行けば、中庭に辿り着いた。まぁ中庭の確率100%だったがな。


「蓮ニとサボるなんて久しぶり」


そうだな、と言いながら俺はベンチに座った。桜にも座るように促したが、少し困った顔をして呟いた。


「1年生の時、2人でよくココでサボったよね…」

「あぁ、懐かしいな」


そういえば昔2人でサボるとき、必ず桜は俺の膝の上に座っていたな…


「桜、ここに座るか?」

「うん!」


桜は満面の笑みで、俺の膝の上に跨った。やはりこのまま持って帰ってしまおうか…


「ふふ、やっぱ蓮ニといると落ち着くよー」

「そうか、ところで桜」

「ん?」

「さっき電話で話していたのは男か?」

「さっき?…あー!うん、そうだよ」


やはり男か…、しかしデータにはなかったな…


「あれ?言ってなかった?一緒に住んでるって」

「初耳…だ…」


ヤバいぞ貞治、俺は今泣きそうだ。今なら柳ノートをうっかり落としそうだぞ。


「そうそう、それで何か今日友達の家に行くから帰るの遅くなるって言うんだよー」

「そう…か…」

「あれ、どうしたの蓮ニ…?」

「あぁ…いや、ちょっと驚いてな」

「へ?なにが?」

「お前に男がいたことだ」

「男?……あー、なるほど」


急に何か思いついたようにニヤニヤしだした桜。


「蓮ニアレでしょ、やきもちやいてんでしょー」

「……桜にそう言われるとカチンとくるな」

「えー」

「ふ、…だがそうかもしれないな」

「えへへ、蓮ニだいすきー!」


ニコニコ笑う桜を抱き締めたくなる衝動を抑えながら、俺も大好きだと言う。俺が抱きしめなくとも、


「きゃー!蓮ニー!」

「…っと、抱きつくな」


桜が抱きついてくる可能性は100%だからだ。


「そうそう、一緒に住んでるのはいとこだからね!」

「いとこ?」

「うん、彼氏とかそんなんじゃなくってもさもさで眼鏡で足フェチってキモいオプションまでついたいとこだから!」

「なんだ、そうだったのか」

「うん、蓮ニらぶ!」

「そうだ、今日うちに来るか?」

「いいの?」

「いとこが帰ってくるまで一人で寂しいんだろう?」

「わーい!」




柳ノートにまた一つ
(ただいまー)(おい桜)(あらゆーしもう帰ってたの?)(もう帰ってたの?ちゃうわ。寂しいとか言うから早よ帰って来たったのにお前おらんし電話繋がらんしどこ行っとってん)(蓮ニの家)(また柳蓮ニかーい!)(うるさい近所迷惑)



(・∀・)いつか蓮ニの家にお泊まりさせたい。ぐふふ


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