記憶の欠片
記 憶
酷くなるフラッシュバック。
黒い制服の人が、動けない私を斬ろうとする。
庇うように前に立ちはだかる、黒髪の人…
「土方さん!」
「千咲!逃げろッ」
私を逃がそうと刀同士がぶつかり合う音。
ドアを開けて逃げようとした時。
目の前が真っ暗になり…
気付いた時には、高杉に抱えられてた…
あの人は、私を殺そうとしていない。
恋人と名乗った、土方さん。
記憶がなくなる前は恋人同士だったのだろうか?
そんな深い仲なのに、忘れたりするのだろうか?
「千咲さん、ご飯できたッス」
「ありがとうございます」
また子さんに呼ばれ、一緒に移動する。
「また子さんはずっと晋助さんたちといるんですか?」
「崇拝してるッス」
「崇拝…」
「晋助様の為ならなんでもできるッス」
「私は…ここにいていいんでしょうか?」
「どうしたッス?千咲さんが来てからの晋助様、楽しそうッスよ」
"あいつがおまえを離さねェわけがわからねェ。
あの時、仕掛けてきたのはあいつだ"
土方さんの言葉が、ずっと心に残ってしまっている。
高杉が私に執着する理由…
記憶をなくしてしまったのも、そこに理由があるから?
記憶が戻ったら、どうなるんだろう。
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