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と、その時ノックもなしにドアが開いた。

入ってきたのはレイで、反射的に架恋は姿勢を正す。

何も言わず近づいてくるレイから視線を逸らせないまま、彼が自分の目の前にやってきた。

「どう、したんですか?」

相変わらずのぎこちない敬語でそう問えば、返事の代わりに腕が伸びてきた。

それは架恋の頬に触れる。

それはレイがいつも架恋にしている行為で、少しだけ慣れた架恋は大人しくされるがままになっている。

否、拒否したくても出来ないのだ。

彼に逆らうことなんて、誰にも出来ない。

架恋にとって、レイと自分とを繋ぐものは“恐怖”に他ならなかった。


それは、とても哀しいことだと思った。










やがてレイは口を開いた。

「今夜は協定の儀が開かれる。お前もフェイに訊いただろう?」

「あ…、はい」

「いつも言っているが……。絶対にこの部屋を出るな」

「……はい」

本当は反論したかったが、ここで彼の怒りに触れでもしたらあの計画が台無しになってしまう気がした。

だから架恋は堪え、素直に頷いた。

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