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架恋はそわそわと、落ち着きのない様子でソファーに座っていた。
昨日、この黒曜城で前夜祭パーティーが行われた。
そう、今日は協定の儀が行われる日。
数日前、フェイは架恋にこう提案した。
『儀式が行われる二日目にも城下では祭りが開かれます。この日、レイ様は絶対に儀式から抜け出すことが出来ません。ですから、その時が唯一の好機になります』
つまり、レイの監視が届かなくなる今日が、この城から抜け出せるチャンスなのだ。
レイの命令でフェイが架恋の監視役を任されているが、そのフェイが架恋を城下街の祭りへと連れていってくれるらしい。
勿論、レイには極秘で。
それはとても嬉しかったが、せっかくここから出られるのならそのまま何処かへ逃げてしまおうかとも考えた。
しかしそれでは、きっとフェイが責任をとらされてしまう。
あの非道な男は、何をするか分からない。
だからその考えは捨て、架恋は一時の自由を味わうことにした。
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