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架恋のその言葉を聞いて、フェイは気付いた。
この方は、この部屋から一歩も外へ出られない。
それは、この世界の支配者が決めた絶対の掟。
もしその掟を破れば、あの方は架恋様に酷い仕打ちをするだろう。
心にも躰にも罰を与えるに違いない。
――…だけど
「架恋様……」
フェイはもどかしくてしょうがなかった。
架恋を自由にしてあげたいという気持ちと、主君には逆らえないという相反する気持ちがあったからだ。
否
自分の力で、架恋を自由になどさせられないと、分かっているからなのだろう。
相手があまりにも自分と格が違う。
逆らえるわけがなかった。
いくら夢を見ても、これが現実だった。
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