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架恋が闇の世界ダークハーツに迷い込んでから、数日が経った。
まだ慣れない生活と環境に戸惑うことが多いが、前よりは大丈夫になった気がした。
―――――
***
ここ毎日は、一日中部屋で大人しくしていた。
退屈でしょうがなかったけど、勝手に抜け出してまたレイに酷いことをされたくはない。
朝、薄暗い外の様子を窓からぼんやりと眺めていると、突然声が聞こえた。
「入るぞ」
その声は、まさしくレイのもの。
「は、はい」
架恋はぎこちなくそう答え体ごとドアへ向けた。
と、同時にそれが開く。
「……最近は大人しいようだな」
「ぅあ、はい」
レイの前だとどうしても緊張してしまい、出す声も震える。
「………」
レイはそんな架恋に近付くと、スッと片手を伸ばした。
「っ…!」
その手が架恋の頬に触れると、反射的にビクリと反応してしまった。
しかし、レイは大して気にする様子もなく、架恋の柔らかな頬を擦る。
自分に触れられる度にびくびくと怯える少女を冷たい瞳で見下ろし、その薄紅色の唇に自身のそれを押しつけた。
「ん…、っ…」
それは抱かれる時の様に激しいものではなく、ゆっくりと味わうかの様に優しいものだった。
「っ、はあ…ッ」
暫く唇を重ねてから、レイは架恋から離れた。
そして、彼女の髪に口付け何も言わずに出ていく。
これが毎日の日課となっていた。
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