8
「!!」
突然、後ろから聞こえてきた人の声に、架恋は肩を揺らし過剰に反応した。
そしてゆっくりと振り返った。
暗くて相手の顔は見えない。
聞こえた声は低く、どうやら若い男のようだ。
気配で段々こちらに近づいて来るのが分かる。
だれ……?
男が、架恋の近くまで来た。
未だに顔は見えないが、背丈がかなりある。
男が口を開いた。
「貴様、ここで何をしているか答えろ」
何ともいえない、低く威圧感のある声だった。
「え…と、…」
男の纏う只ならぬ雰囲気に架恋はただ怯えた。
そして何も答えない架恋に痺れを切らしたのか、男は言った。
「答えないのなら…殺す」
「っ!?こ、ろす…?」
紡がれた言葉の、あり得ない単語に恐怖が増した。
「っ…!(何…、この人…いきなり殺すって……!)」
架恋は恐怖のあまり、地面に座り込みながら、カタカタと震えている。
――逃げなきゃ…!!
本能が架恋にそう告げた。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!