6
黒
黒
黒しか見えない。
無限に広がる暗闇の中を、泣き出しそうになる気持ちを必死に堪えて、架恋は恐る恐る歩きだした。
――地面は、ある。
ただ、見えないだけ。
「一体何なの…?」
ゆっくり、ゆっくり前と思われる方に向かって歩く。
どのくらい歩いただろうか。
架恋の不安は増すばかりだった。
「も、やだ……」
まるで、終わりのない道を歩いているかのようだった。
極度の緊張と不安で、ついに架恋はへなへなとその場に座りこんでしまった。
「あ…っ!」
架恋が座りこんだ瞬間、その瞳が光をとらえた。
それはとても小さな光で、それでも今の架恋には十分な灯火だった。
(ここから出られる!)
架恋はその光に向かって走りだした。
光がだんだん大きくなる。
近くなる。
――もう少し……!
そして、大きな光が架恋を包み込んだ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!