5
まるで宝石箱をひっくり返したかの様なそれは、まさに絶景。
架恋は寒さも忘れてその場に立ち尽くし、しばらくその美しい輝きに酔い痴れた。
数分間程そうしていたが、さすがに手足がかじかんできたので、帰ろうと夜空から視線を落とした。
「――え…?」
しかし、『何か』が変わっていた。
――道が、無い。
いや、違う。
あまりにも暗くて何も見えないのだ。
「な、何で真っ暗なの…?」
いくら田舎といっても、外灯くらいある。
現にさっきまでは、それがすぐ近くで光を放っていた。
でも今の架恋の目に移るのは……
果てのない暗闇。
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