10
いたい
タスケテ
***
次に目を覚ました架恋は、白いベッドの上で自分が涙を流していることに気が付いた。
どこかも分からない場所で、誰とも分からない男に無理矢理身体を奪われた。
それも初めてを。
そして、死にも似た恐怖を味わった。
体が痛い。
心も痛い。
「っく、ふぇ……っ」
どこもかしこも痛かった。
しばらくの間声を押し殺して泣き続けた。
零れ落ちた雫が白いシーツに染みを作ることなど気にもせずに。
泣き続け、少しだけ気持ちが落ち着いたところで架恋は今の自分の状況を確認した。
――今私がいるのは、あの黒い部屋じゃない。
でも、家具とかが揃ってるし広い。
「っ……」
腰と下腹部の鈍い痛みに耐えながら、架恋はベッドから降りる。
そして、この広い部屋の中を散策し始めた。
「あ…、お風呂」
近くにあった白いドアを開けると、そこは浴室だった。
隣のドアの向こうには、トイレがある。
「ここって、高級ホテル……?」
この一部屋で、生活出来そう…なんて考えながらその場を離れると、この部屋の出口らしきものを見つけた。
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