3
――吐いた息が白い。
もうすぐ短い秋が終わり、寒く長い冬がやってくる。
底冷えする寒さの中、胸ほどまである漆黒の髪を風に揺らしながら、現役の高校生・緋乃架恋(ヒノ カレン)は夜の道を歩いていた。
「寒いな……」
やや短い、制服のスカートから露出している足と静かに吹く風のせいで、寒さが余計に感じられた。
「うー、早く家に帰ろ……」
架恋は先月都会からこの田舎町に越して来たばかりだった。
都会と違って不便なことはたくさんあるが、架恋はすぐにこの小さな町が気に入った。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!