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始まったよ
歪んだ喜劇が
さあ、その瞳を開けて
***
「……ん…。あ、れ…?私…」
ゆっくりと重い瞼を上げ、架恋は目を覚ました。
まだ完全に覚醒していない意識の中、その瞳が最初にとらえたのは――
――黒。
架恋は大きなベッドの上に寝かされていた。
そのベッドの色は、黒。
シーツも枕も。
また、辺りを見回すと見ただけで高そうな家具や、装飾品が広い部屋の中に置かれていた。
それらも、全て黒色。
カーテンも、カーペットも何もかもが漆黒だった。
架恋はその異質な光景に戸惑いつつ、何故自分がここにいるのかを理解しよう記憶を辿った。
「――あ…っ、!!」
そしてそれはすぐに蘇った。
そうだ。
あの紅い瞳の男の人に……殺されるかと思ったんだ。
凶器とかを持っていたわけじゃないのに、どうしてかそう直感した。
それは、あの紅い瞳があまりにも冷たく自分を見下ろしていたから……。
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