[携帯モード] [URL送信]
10

その声は確かに“彼”のものだった。


「……フェイさん…っ!」


来て、くれた。


驚きと安心の入り交じった瞳で声のした方を見遣る。


だが、そこにいたのは彼であって、彼ではなかった。





ぞくりと、身体が震えた。





「っち、誰だ!?」

茶髪の男が明らかに動揺した声で叫ぶ。

だがフェイはそれに答えることはなく、蒼の瞳を鋭く細めた。


「――架恋様から、離れろ」

あの優しいフェイのものとは思えない程に冷たい声。

殺気を含んだかの様な声色に、架恋は僅かな恐怖を覚えた。


[*前へ][次へ#]

10/28ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!