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ローブの下から現れた、幼さの残る美しい少女の顔。
闇夜でも映える程に透き通った白い肌、桃色の唇。
大きな瞳は涙で濡れ、それが少女の意志と反して煽情的な色香を醸し出している。
息を呑む程のそれに男等は皆一瞬、言葉を失った。
だが彼等が動揺を見せるのはもうひとつ、別の理由からだった。
「黒い、髪……」
そう呟いたのは架恋の真正面にいる茶髪の青年。
「…瞳も…?」
続けて出された言葉に、今度は架恋が言葉を失った。
――知られてしまった。
「――っ、放して…!!」
彼等が動揺しているうちに隙をついて逃げ出そうとするが、それでも男の腕の力は強く、じたばたと暴れることしか出来なかった。
その時。
「――架恋様!!」
自分の名を叫ぶ声が闇の中から聞こえた。
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