7
一瞬、呆気にとられた男たちだったが、すぐに我に還った。
「逃げたぞ!」
「ははっ。追い駆けっこだな」
「笑ってないで追え!」
「はっ、は…!」
――怖い。
怖い、怖い……!
闇雲に駆ける架恋の脳内は恐怖でいっぱいだった。
男達の、獲物を捉えるようなあのギラギラとした瞳が、荒い息遣いが、自分に向けられる欲情の眼差しが。
全てが恐怖となって架恋を襲った。
何度も転びそうになりながら、夢中で走った。走らなければ捕まってしまうという強迫観念によって、その足は止まることを知らなかった。
だが。
突然ガシッと、腕を強くひかれ後ろに引き寄せられた。
「つーかまえた」
そこには残忍に嗤う彼らがいた。
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