6
身の危険を感じた架恋は、何も言わずにその場を離れようとした。
「あれ、無視?」
「ちょっと待てよ」
そう言った、茶髪の男が架恋の手を掴んだ。
「や…っ」
それに嫌悪感を抱いた架恋が、その手を振りほどこうと小さく暴れた。
だが、男の予想以上に強い力に適わず、それは無駄な抵抗に終わった。
「離して!」
抵抗が出来ないことを思い知らされた架恋は、言葉で拒絶を示した。
それでも男は握る力を緩めない。
「可愛い声してんじゃん」
「離して、だってー」
「聞けないお願いだよな」
その3人の言葉と口調に、今度は恐怖を感じた。
早く、この人たちから離れないと。
しかし掴まれた手のせいでそれが出来ない。
焦りと恐怖が架恋を襲う。
「オレらとイイことしよーぜ?」
だがその言葉を聞いた瞬間、架恋はありったけの力で掴まれた手を振りほどき、走りだした。
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