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ふと、残してきてしまったフェイのことが気になった。


自分のために今回の計画を作ってくれた彼に、これ以上迷惑はかけられない。架恋はそう思っていた。

だから逃げようなんて思わないことにしていた。


それなのに、いざチャンスが来ると逃げることを選んだ、薄情で自分勝手な自分がいる。


「……フェイさん…」

彼はきっと、責任をとらされるだろう。

危険を犯してまで外に連れ出してくれた優しい彼の顔が、頭に浮かんだ。




その時、強い風が吹き抜け、架恋の髪を揺らした。

火照った身体が、一気に冷める。




「…私……」

段々と冷静を取り戻した頭が事態の深刻さに気付き始めた。





自分は一体、何をしているのだろう。

彼に迷惑がかかることなんて構わず逃げるのだろうか。

……何処へ、逃げるというのか。

この世界に自分の知っている場所なんて在りはしないのに。

そう思った時、大きな孤独感に苛まれた。

感情的だった自分の行動に、今更になって後悔の念が押し寄せてきた。


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