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「は…っ、は…」

架恋は果てのない闇をひたすらに駆けた。

後ろなんて振り向かなかった。

自身を突き動かす衝動に身を任せ、足を動かす。


――戻りたくない。


その思いが頭の中で強く反響していた。













メインストリートから随分離れたであろう場所まで来た時には、既に息が上がっていた。

一旦立ち止まり、深くかぶったローブの下で荒い息を整えた。

体が暑くなったので、フードをめくって顔を出した。

広がった視界に、夜の風景が映った。

少し汗に濡れた顔には、夜風が気持ち良く感じられた。


「これからどうしよう……」

自然と洩れた呟きは、こんな行動を起こした自分自身に対しての問いかけだった。

しかし、その問いに答えることは出来ず、ましてや誰かがそれを教えてくれるわけでもなかった。


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あきゅろす。
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