2
コツコツ、と薄暗い城内に無機質な足音が響く。
辺りは完全に闇が支配していた。
しかし、『彼ら』にとってはこれからが始まり。
「レイ様、どちらへ行かれるのですか?」
その声にピタリと足音が止まる。
「……外へ行く」
問われた人物から発されたその声は低く、それだけで威圧感のあるものだった。
「ですが、今夜は……」
「黙れ。殺されたいのか」
僅かに殺気を帯びたそれを言い放つ。
「っ、申し訳ありません」
その気迫に押され、その者は深々と頭を下げた。
「………」
男はそれを一瞥すると、闇の世界へと消えていった。
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