小説
センパイの知らない物語。
先人たちの教えで知った。
学校という物は、それを共に過ごす仲間というモノが必要らしい。
その教えに習って、ミーはとあるグループの中の、特に端っこの所に居た。
別に、誰かと一緒にいる事を望んでいたのでは無い。
寧ろそんなのはゴメンナサイだ。
では、何故そこに居るのか…ですかー?
理由は簡単。
ミーが、恋をしていたからだ。
『センパイの知らない物語。』
ミーと同じグループの…特にリーダー的存在のベルセンパイは、いつも誰かと一緒にいた。
そのくせ、何処か楽しくなさそうな表情をしている様に見えた。
不思議に思ったミーは、暫くの間センパイを観察してみる事にした。
…しかし、それを続けていたある日の事。
「お前さー、俺の事見てねぇ?」
「………はぁ?」
なんて、話しかけられてしまった訳で。
「いやいや、お前だよお前。
王子の事観察してただろー?」
「…………………」
(いやいや、この場合ミーはどうすれば?
ってか、こーゆー時ってどの様な対応をすべきなんですかー…?
てかこの人なんで観察してた事わかったんですか?!)
と、あれこれ考えてブツブツ言っていた結果。
「………き、気のせいじゃないんですかねっ☆」
「………………へぇ?
ししっ♪ お前面白えな。王子の前で独り言ブツブツ言った挙句気のせいだってさ!」
「はぁ?!何いってんですかー!
気のせいったら気のせいなんですよ!」
「うし、お前今日からオモチャ決定なー♪」
なんて、言われてしまって。
それから、パシられたり昼休みに一発芸やらされたり、散々な目にあった。
…でも、それでもミーの気持ちに嘘なんて無くて。
たまに、ミーはマゾに目覚めたんじゃないかと思うほど…(本当に心配でした。)
……センパイが、大好きだった。
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「借りていたCD……ですかー。」
「そーそ。D組のヤツだからさぁ。行って返してこい。」
「……そう、ですかー…」
「返事に元気がねぇな。もっかいー」
「わかりましたよ返してきますよ返せばいいんですよね堕王子っ!!」
てな訳で、現在午後1時…と少し。
ミーはセンパイが借りたらしいCDを返しに廊下を歩いている途中。
あれから一ヶ月、散々こき使われて一発芸までやらされて、挙げ句の果てにはトキメキのトの字も感じられない生活を送ってきたミーは、最早センパイに対する恋心なんて消え失せようとしていた。
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