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朝、目が覚めた

目覚まし時計は四と二をさしている


―――四時十分


早く目が覚めたって、特にすることもない

別に寝付けないわけでもないから、ホームシックはありえない


哲と小さい喧嘩をして、何日かがあっという間に過ぎた

最近は、サッカー部の人達とも仲良くなっちゃって

しょっちゅう行くもんだから、「マネージャーやらない?」なんて言われてしまった


兄は、本当に楽しそうだった

小さい頃から見てきた、太陽のように輝いて見える笑顔

わたしは、ずっと羨ましかったんだ


―――心から楽しめることが


思いっきり笑えることが


体は満足に動かないし、そのせいで物事をプラスに考えられなくなる

それが日常で


少しでも意欲があればいいのだけど…

そう、何度も病院の先生が両親に言っていたのは知っていた


最近は、軽くなら運動をしても大丈夫になってきた

だから、余計に

楽しむことがどんなに素晴らしいことなのか、分かるようになってきたの


だから、余計に

彼には笑顔でいてほしかった


元々、人前では笑わなかった

引っ込み思案というか、人と関わろうとしなかった

それだからなのか、彼の両親はサッカーを勧めた


仲間とボールを繋ぐ、サッカーを


幼馴染のわたしは、兄がそれをやっていたから

彼が始めたとき、嬉しかった


―――サッカーは、たのしいものなんだよ、哲


そう、自慢げに話した覚えもある


わたしも、大好きだったんだ サッカーが



いくら考えても仕方がないときは、体を動かせ

兄の口癖を思い出し、クローゼットから使っていなかったジャージを取り出した


兄は、頭より体が先に動くタイプだ

でも、わたしは違う、と思っていた


学校では勉強重視

体育もあまり参加していなかった


―――ムショウに、走りたくなった




窓に手をかけて、飛び降り 走り出した

(帰ってきたら寮母さんにめっちゃ怒られた)







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あきゅろす。
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