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兄も、通っていた

彼と同じように、サッカーに携わっていた

スポーツ推薦

何故か、わたしは素直に喜べなかったんだ、確か


勉強の推薦

特待生というヤツで入学したわたし

小学生の頃から、ずば抜けて成績が良かったから、なのか

先生も親も、『私立の中学へ行ったほうがいい』と口を揃えたかのように言った


丁度良かった

確かめたかった

わたしから離れていく兄や彼が


―――本気で笑っているかどうか


彼が居なくなった時から、わたしはサッカーが嫌いになってしまった

元々、小さい頃から体が弱くてスポーツなんかやらせてもらえなかった

そんな時、楽しそうにボールを追いかける彼と兄が

物凄く輝いて見えた


応援するだけでもいい

そう言ってわたしにサッカーを教えてくれた二人は、揃ってこの学校に居る


本当に、幸せなの?

どうしても、彼を追うように

彼の才能だけを目当てに寄ってきた大人達の作った世界が

楽しいものだとは思えなかった





『…あ、』


やっと学校に慣れてきた頃、元々部活に所属していなかったわたしは

足早に寮へ向かっていた

なんとなく、好きになれなかった、学校が


そんな時、グラウンドの方で聞こえた


「あ、姫!」


二年前、この学校に先に入学した兄・赤城太陽

全寮制のこの学校だから、二年は会っていなかった


「姫、…父さんの言ってたこと、本当だったのか」

『あはは…、驚いた?』


練習の途中なのに、中断してわたしの元へ走ってきた兄

キーパーだから、シュートを止める練習でもしていたのか

グローブを外し、わたしの頭をぐしゃぐしゃと撫でる

え、確かキャプテンやってたんじゃなかったっけ


キャプテンが急に走り出し、練習中断なんて言うもんだから

選手は頭の上にクエスチョンマークを浮かべていた


「キャプテン、この人誰ですか?」


「あー、んーっとな、俺の大事な妹

な? 哲哉」


わたしの頭をぽんと軽く叩き、兄は後ろを振り返った




そこには、彼が居た








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あきゅろす。
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