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わたしと小さい頃からずっと一緒だった霧生哲哉は、少しずつ遠ざかっていった



物心ついた頃から、彼は天才と呼ばれていた

彼が出る試合はいつも大人達で溢れていた


わたしにとっては誇りだった


でも、サッカーが楽しいといつも笑っていた彼から

いつの日からか、その笑顔が消えた


テレビに映るのも、スカウトを受けるのも

当たり前になってきた頃

彼は周りから外れるようになった


特別

そう呼ばれるようになり、周りの仲間は最初こそは囃し立てたけれど

いつの日にか、彼は違う分類だとでも悟ったのか

近寄らないようになってきた


正直、わたしも恐かった

自分達とは違う人間

段々と、笑顔が消えていくことが

段々と、一緒にいる時間が減っていくことが

段々と、彼に知らない人が寄ってくることが


―――彼が、居なくなるようで


小学生の高学年、確か四年生の時

彼は突然、転校するといった


当時、エリートの分類でわたしの頭の中にインプットされていた学校へ

その名も『輝羅学園』

通う人は天才ばかりで、格が、住む場所が違うと皆言っていた


―――彼が、離れていく


スカウト、だそうだ

一緒に登下校する時も、知らない大人が後ろを着いて来ていたり

恐かった


そんな人を、信頼したらしい


「オレが、守るから」


小さな時、言ってくれた

どうして、わたしから離れていくの




彼を追うように、わたしは中学一年生になると同時に

迷わず『輝羅学園』に入学した







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あきゅろす。
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