懐かしい感覚
《懐かしい感覚》
ゴールへ向かって、いつのまにかわたしは走っていた
周りにいる人を気にせず、走りだす
右、左、交互にボールを蹴りだし、スカートが翻ってるのなんか
───気にならない
『‥ハッ』
息があがる
当たり前だ、退院してすぐ
一年は運動してなかった
『…サンダー、レイン!』
雲の狭間から、雷鳴が轟く
矢のように、無数の雷が現れ、わたしが蹴りあげたボールに突き刺さる
───ゴールに音を立てて、ボールが入った
ふぅっと、思わず出た溜息と同時に
肩をポンッと叩かれる
「すげぇシュートだな!!」
ニッコニコでキラキラな笑顔
───不覚にも、一瞬ときめいた
そして、ハッと気付く
『れ、練習邪魔しちゃったよね‥?』
ヤバい
注目を浴びてはいけないのに
「全然! 構わないって(ニカ」
「お嬢!」
───ヤバい
今度は本能的に感じた
[*back][next#]
無料HPエムペ!