姫の過去
《姫の過去》
「あの、質問があるんですけど」
雪乃が去った後、紅夜は守に勧誘され(たため)
逃げるように部活へ戻っていった
皆が太陽について質問を浴びせるとき
秋が真剣な表情で尋ねた
「んー、何?」
「これです」
秋が太陽に差し出したのは赤いパスケース
―――雪乃に返していなかった
「! そ、それは」
「この人は、誰なんですか」
雪乃と太陽ともう一人が移っている写真
秋は太陽を一目見て、写真の人物だと分かった
でも、もう一人
「言って、いいのかな…」
「え?」
―――雪乃の、過去
「過、去…?」
赤城雪乃は、普通のサラリーマンの父と、専業主婦の母
そして太陽の四人家族の長女
運動ではなく、成績
秀才として、私立輝羅学園に入学した
私立輝羅学園は、初等部、中等部、高等部の小中高一貫の学校で
特別才能があるものしか入れない
太陽は、キーパーとして
雪乃は進学コースの特待生として通っていた
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