姫を助ける騎士
《姫を助ける騎士》
さすがに男女、体格の差があって
わたしの上に覆いかぶさるかのように倒れこむ飛鳥くんを
―――退かすことは出来なくて
「! 姫‥何で、いるんだ?」
今更か、とは思いながらも
近寄ってくる兄に視線を向ける
兄の必殺技である『カット・ザ・ワールド』は
シュートがうたれる瞬間、兄が生み出した振動により、視界がおかしくなるような感覚に陥る
詳しくは兄しか知らないのだけど、これは真っ正面でも近くでも
くらえばしばらく気絶か混乱状態になる
動かない飛鳥くんを退かした兄は、満面の笑顔でわたしに抱きついた
「‥姫、心配したんだ」
『大丈夫だよ、運動あんまりしないようにしてるから』
兄は『輝羅学園』という学校に通っている
わたしも通っていたのだけど、担当医の先生についてきたから、この稲妻町に住んでいる
兄は寮だから、全く別の場所で生活、暮らしている
―――極度の心配屋には耐えられないそうだ
「‥ん、‥‥雪乃?」
目が覚めたらしい守と、サッカー部員と
特に飛鳥くんは
―――目を見開いて、口が開いていた
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