01 散華
──死なば一所。
そう貴方は言って下さいました。
弓矢を取って、太刀を佩き、馬を駆る。
ともに戦場に生き、私は貴方の手足となって、ただひたすら貴方が求めた夢を追い掛けた。
でも貴方はもういない。
私の目の前で、敵の矢に射られ、逝ってしまった。
貴方が私の世界の全て。
貴方がいなければ私の世界など簡単に壊れてしまう。
──死ぬ時はお前と一所で。
かつて貴方はそう言って下さいました。
私にはその言葉だけで十分だった。
それだけで幸せだった。
幼少よりの契り、違えた私をどうかお許し下さい。
私も今、参ります。
ああ、季節はもう春なのですね。梅の花がちらちら舞っている。
こんな中で死ねるのなら、私は幸せなのかもしれません……
………
………………
──散華。
花をまいて供養すること。または戦死の意。
了
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