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五万打!
2

「謝るな」
「へ…」

その優しい感触に顔を上げると、会長が頭を撫でる…とまではいかないが、手を置いていてくれた。そして、何故か。

「ふへ」

次の瞬間には頬を引っ張られた。あれー。俺、今副会長だよね?ハルキくんじゃないよね?
まさかの副会長モードでのスキンシップに混乱する。俺が動揺してたからバレたとかそういう類の話ではなさそうだし、どういうこと?

「お前は心配しすぎなんだよ。あの女は殺したって死にそうにないだろうが。寧ろ殺そうとした奴が心配になるような女じゃねぇか…」

最後の言葉に苦笑が漏れる。正しい雪ちゃんの認識だった。
うん、そういうことか。会長は俺を励ましてくれてるってことなんだね、この手はそういうことだろう。

「凍坂は大丈夫だ」

リアルいい人は最後に頭を軽く叩いて離れた。
髪型が崩れていないか気になったが、しかしそれ以上に気になることがあった。

「会長」

自分の席に戻ろうとする会長を呼びとめようと会長の服の裾を引くと、少し驚いたように振り返られた。

「ありがとうございます」

取り敢えず先に礼を言い、でも、と続ける。

「あの、会長が凍坂、と呼ぶことに違和感がありまして…」

いつもは雪女とか、風紀の女とか呼ぶのにいきなり名字で呼ぶから驚いたっていうかなんか嫌だったって言うか…。なんで嫌だと思ったのかわからないから、どういう心情かは説明できないんだけど。

「だからどうしたい、というわけではないのですが…」
「わかった、呼ばない」

俺の言葉に若干食い気味で会長は言った。いや、なんか嫌って言っても(というか言ってもない)呼ぶなとは言ってないんだけど。と思っていると、会長の服を掴んでいた手に会長の手が添えられた。

「だからその、服ちょっと掴むのやめろ……」
「はい?」

やんわりと外された手に一瞬なんのことかと思ったが、すぐに思い到った。

「あ…申し訳ありません。皺になってしまいますね」

軽く跡がついてしまった会長の袖を直す。制服って跡つくと目立つからなぁ。

「いや、そうじゃなくて……ああ、クソッ!」

ええ!?何、そんなに嫌だったの!?そういうの気にする人だっけ…。ていうかそうじゃないって言ってたから…俺が掴んだこと自体にイラついてるとか?副会長の俺、そんなに嫌われてたとは思わないんだけど…。

取り敢えずもう一回謝っておくと、会長は呆れたような顔をした。

「お前はその無自覚をどうにかしろ…」
「無自覚、ですか?」

そんなキャラ設定された覚えはないんだけどなぁ。雪ちゃんにも言われたことないし。

「そうだ。お前だって…」

ぐい、と引っ張られ、顎を持ち上げられる。

え、ええ?


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あきゅろす。
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