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「失礼します」

扉を開けたのは知らない女子生徒だった。
俺たちの代から高等部は共学になったので、女子生徒は全員外部入学生のはず。それなのに生徒会室に直接一人で乗り込んでくるなんて、どういう奴なんだ。
訝しみを隠さずに見ていると、女子生徒はその視線を天崎に向けた。つられてそちらを見ると、そちらには驚いたような顔。

「ゆき、」
「天崎くん」
「…凍坂」

どうやら天崎の知り合いらしい女は無表情を崩さないまま部屋に入ってくると、何故か俺に向かって来た。

「一条会長候補ですね。天崎くんと同じクラスの凍坂真雪です」
「ああ…」

気味の悪い女だと思った。どうにも敵わなそうな雰囲気に、思わず引け腰になる。

「凍坂。どうしてここに?」
「ああ、天崎くん。私風紀委員に入ることになったから、その判子をもらいに来たんだけど…現会長さんたちは帰ったの?」
「は、ちょ…風紀委員!?」

声を荒げた天崎に目を瞠る。こいつ、こんな驚いて焦った顔すんのかよ…。

「聞いてない…」
「言ってないからね。ちゃんと風紀からの許可も出てるんだよ。後は生徒会から判子もらうだけ。まぁ会長が居ないなら仕方ないから、明日出直すね」
「ちょ、待っ…」

すたすたと生徒会室から出て行く女に焦るように声を掛けると、天崎は鞄を持って飛び出し、一度だけこちらを振り返った。

「申し訳ありません、お話は明日させていただきます!」

俺には最後まで丁寧な口調を崩さなかった天崎は、そのまま女を追って行ってしまった。

一緒に帰るんじゃなかったのかよ、なんて呟きは一人きりの生徒会室に小さく響いた。


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あきゅろす。
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