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たまに、目に見えて夢だとわかる夢をみることがある。多分俺だけではないと思うが、夢が目に見えるかどうかはともかくとして。
それが悪夢なら覚めろと思うだろう。
しかし、いい夢ならば…夢なら覚めないでくれと思うかもしれない。

「会長…ご奉仕する、にゃん…」
「ご奉仕…させていただきます……にゃん」

今の俺が、その状態だった。



目の前には晴生が二人、素と副会長モードの晴生で別々に存在している。わかりやすくいえば、ハルキと天崎が居る。
そしてその二人(一人?)がそれぞれ、ハルキの方は白、天崎の方は黒の…猫耳猫尻尾をつけている。いや、これは生やしている…のか?
しかも二人が二人して、恥ずかしそうに奉仕するなどと言ってくるのだから、俺としては据え膳食わねば男の恥状態なわけで。夢なら晴生を傷つけることもないためおいしい思いをしてもいいということで。

そこまではいい。
そこまではいい、のだが。

「会長…?」
「…会長」

俺がどうにも動けない!
夢だからかなんだか知らないが、手を出すことも動くことも喋ることも、一切できないのだ。
晴生たちは触れ合うには遠く、しかし俺が動けば届く位置に居る。つまりもどかしい!夢畜生!

どんな悪夢より地獄だと思っていると、ハルキの方が小さく首を傾げた。

「俺じゃダメ…にゃん?」

ダメなわけないだろ!
口に出したいのに否定の声すらあげられない。その間にもハルキの眉は下がる。誰か俺を殴ってくれ。
項垂れることすらできないでいれば、今度はハルキの方が動いた。

「会長…やはり、一人を選ばれるおつもりですか…?」

…はい?

「悩んでるの?」

え?

「そうですか…では、お好きな方をお選びください、にゃん」

いやいやいや。どっちも何も両方晴生だろ!つーかさっきから二人して語尾の『にゃん』が後付けっぽいんだが。

「そういえば会長最近、副会長モードだと嬉しそうだよね…にゃん」
「しかし最初に惚れていただいたのは素の方ですよね…にゃん」

距離は縮まらないのに詰め寄るように二人に言われる。んなこと言われてもハルキは天崎だし天崎はハルキだし、両方晴生だ。選ぶなんで、できない。

「どっち?」

声を揃えて言われ、俺は………。


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あきゅろす。
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